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<title>Feldenの遊戯室</title>
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<description>管理人Feldenの日記や趣味で創作した小説や、3D画像などを小出しに掲載していくページです。</description>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十八話『ギゼンダ再び』　Ｐａｒｔ2-2</title>
<description> 「じゃあ、船体の甲板まで上がってみましょうか。その方が破損箇所がよく見えます」　城島に先導された一班の面々は、船体に据え付けられたタラップを上がり、早速問題の部分を見渡した。　すると、船体の大きな損傷は二カ所だけが確認できるのみであった。　岸壁とは反対の舷側から、甲板上に幅３メートル、長さ１０メートル、深さ１．５メートルほどの巨大な凹みが中心へと伸びている。　もう一つは、そこから船尾の方向に１０メ
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<![CDATA[ 「じゃあ、船体の甲板まで上がってみましょうか。その方が破損箇所がよく見えます」<br />　城島に先導された一班の面々は、船体に据え付けられたタラップを上がり、早速問題の部分を見渡した。<br />　すると、船体の大きな損傷は二カ所だけが確認できるのみであった。<br />　岸壁とは反対の舷側から、甲板上に幅３メートル、長さ１０メートル、深さ１．５メートルほどの巨大な凹みが中心へと伸びている。<br />　もう一つは、そこから船尾の方向に１０メートルほど距離を取った位置に、直系四メートルほどの巨大な穴が穿たれている。<br />　その他、細かな破損の類は数え切れないが、巨大生物の仕業と断定できるほどの物はなかった。<br />「佐々木」<br />「はい、班長」<br />　班長の湯島が軽く目配せをすると、佐々木は両手の親指と人差し指で四角い枠を作って簡単な測量を開始する。<br />　ものの十秒も経たないうちに、人の良い元測量技師は一同に向き直る。<br />「今回のＤＴの体型とサイズは大体わかりましたよ。体型は脊椎動物と思しき四肢を持った陸上歩行が可能なタイプで、体高にしたら５０メートルほど」<br />「ジールよりは大きいが、この前のエルダイトほどじゃないって訳か」<br />「そのＤＴがこの船にどんな攻撃を仕掛けたかわかるか？」<br />　士堂の感想と湯島の問いかけに、佐々木はゆっくりと頷いた。<br />「破壊活動というよりは略奪行為ですね。……船をみつけたＤＴは、海中から接近。舷側から慎重に船体へのし掛かって、片膝を立てて体勢を保持。別の肢で甲板を破って内部の積み荷を引きずり出した。という所でしょう」<br />　大まかに状況を推測した佐々木の言葉に、一行はそれぞれが考え込むような顔となる。<br />「まあ、もう一隻の方も見てみないとならんな。城島君、隣の船も頼む」<br />「了解です」<br />　正確な損傷度合いのデータを記録すると、一班の面々はもう一隻の洋興丸の調査へと取りかかる。<br />　結果として、そちらでも全く同様の被害状況となっており、同一の個体による巨大生物災害と結論づけられるに至っていた。<br /><br />　結局、午後の日が傾き始める頃に調査は切り上げられ、調査課として独自の結論を出したものの、先の展望は見えないままであった。<br />　そして、那覇市街のホテルに戻った一行は、城島と友利を交えて見解の交換を行っていた。<br />　借り切った会議室内において、まず第一声を発したのは班長の湯島であった。<br />「被害状況は大体掴めたにしても、今回ばかりはどうにも対応策が確立しにくいな……」<br />　珍しく煮え切らない言葉を吐いた元警察官の中年超能力者は、これまでに収拾した調査資料へつまらなそうに目をやっている。<br />「大体、相手の目的が曖昧なんだよな。一見すると食料が欲しいだけのような気もするが、奪われた量は到底巨大生物が満足できる程の物じゃないと来た」<br />「被害にあった物資は全部食料品よね。内訳は主に穀類・畜肉・魚肉で、中でも圧倒的に魚肉が多い。かぁ」<br />　和人と池上が思い返すように言うと、工藤が言葉を引き継いだ。<br />「それならば、近海の魚だけで十分な餌になるはずだしな」<br />「だが、船の襲い方にはなんだか知性が感じられるぞ。最初のタンカーを抜かせば、まず最初が穀類を積んだ船。次に畜肉。それ以降は魚肉を積載した船しか襲撃されていない」<br />　腕を組んでうなる元自衛官と、冷静に資料を分析する元ラリードライバー。<br />　その様子を認めながら、洋美は自分の内にいる戦女神へ一つの疑問を問いかける。<br />“ジール。思ったんだけどさ、ギゼンダと直接意思疎通する事ってできないの？　今回の事件が本当に彼女への濡れ衣なら、連絡が取れれば一発で解決じゃない”<br />“私もそれを考えていました。確かに、ギゼンダが母艦で待機してくれてさえいれば、常時連絡を取る事ができます。しかし……”<br />　相変わらず女神の名にふさわしい丁寧な口調のジールであったが、その気配には人間くさい焦れたような色が混ざっている。<br />“彼女は今、この海域で覚醒反応のあったＤＴを無害化するため、二週間ほど前から母船を開けているのです”<br />“うわ、最悪……。私たちしか知らない事だからいいけど、それこそ疑ってくださいって言わんばかりの状況じゃない”<br />　頭を抱えたい気分になった洋美だが、大げさなリアクションを見せる訳にもいかず、配布された資料に目を向けた。<br />「それにしても、事件発生当初から今まで１００隻以上がこの海域を航行してるのに、驚くほど正確に食料品の運搬船だけを狙い撃ちにしてるわね」<br />　感想を漏らした現代的な美人の横顔に、仲間たちの視線が集中する。<br />　本心は意思疎通ができるジールに見解を聞きたいが、無関係な者がこの場にいるのでそれもままならない。その点が、どうにももどかしいようである。<br />　と、そこで今度は行政側の責任者である城島が、視点の転換を図ってくる。<br />「問題の巨大生物の正体が判明しなくとも、次の被害を防ぐ措置は必要になります。その点についてＤＥＭＩＯ側から何か見解は出せませんか？」<br />「沿岸警備の体制は当然普段より強化するべきですけど、問題となって来るのはむしろ海上警備の方だと思います」<br />　生物学に深い知識を持つ池上が、一同を代表して発言する。<br />「今回の巨大生物は、知能の低い怪獣とは呼べない行動をとっています。最低限の労力で必要なだけの物資を奪ってゆく合理性。自らの正体を掴ませないため、視界が悪くなる悪天候の夜間にのみ襲撃を行う周到さ。それらを逆手に取った方法でないと、この巨大生物の被害を防ぐどころか、正体に肉薄する事さえ難しいでしょう」<br />「とすると、条件に当てはまる船に護衛艦をつけて警護させるという形が良いのか」<br />「班長、恐らく相手はその措置が取られた船を襲撃対象から外すと思います。被害を防ぐだけならばそれでも良いとは思いますけど、正体を掴んで事件を解決するためにはもっと決定力のある手段でないと……」<br />　池上は普段と異なり、明確な回答ではなく概念的な事実のみを、言いづらそうに述べている。<br />　その困ったような表情を見て、城島も湯島もそれ以上追求しようとはしない。<br />　かわって、意外な発言をしたのはＤＥＭＩＯ西日本支部の友利であった。<br />「あのー、素人考えなんですけど……」<br />「何でもいい。意見があるなら聞かせてくれ」<br />「はい。私の実家ってこの沖縄で漁をやってて、そこから考えたんですが、疑似餌を使って釣り上げる。みたいな事ってできないんでしょうか？」<br />　恐る恐る、といった風情で伺うように述べる友利。<br />　釣りという人類が古くから用いてきた方法は、確かに効率的ではあるものの若干見通しが甘いと言わざるをえなかった。<br />　今、この場にいる者の大半が一度それを考えたものの、様々な面の事情により考慮から外している。<br />　現に、城島が様々な事情からそれが不可能である事を伝えようとする。<br />「友利さん。着眼点は悪くないが、実際にはその方法は難しいですね。……釣りという方法を用いるならば、その餌としてこれまで被害にあった物と同じ条件を満たした船を用意する必要があります。しかし、我々人間の力でその船舶を守り通す事は非常に困難と言わざるをえません」<br />　慇懃に事実を述べる城島に対し、友利は何とも申し訳なさそうな表情になってしまう。<br />「条件にある悪天候の夜間では、航空機による巨大生物への攻撃は事実上不可能です。加えて、囮となる船は民間から借り受けるしかない訳ですが、当然被害が及ぶ可能性があるため倫理的な問題も生じるのです」<br />　一部の隙もない言葉であるが、治安維持に関わる者として、このレベルの保守性はむしろ当然の物と言える。<br />　だが、そこに見解を異にする者が名乗りを上げる。<br />「いや、城島さん。その案、自分は案外行けるかと思いますよ」<br />　それは、意外にも城島と同じ元自衛官の工藤である。<br />　全員がその彼を顧みると、普段は生真面目なしかめっ面が、今は不敵な笑みを浮かべていた。<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十八話</dc:subject>
<dc:date>2009-05-22T00:27:51+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十八話『ギゼンダ再び』　Ｐａｒｔ2-1</title>
<description> 　　　　２　海上自衛隊沖縄基地に到着した面々は、その場で先に現地を訪れていた城島と合流した。　そこからは、友利の事前の段取りによって特に時間を取られる事もなく、目的の船が係留されている岸壁へと移動する事になっていた。　だが、その道中で城島から厄介な情報がもたらされる。　基地の一角にチャーターしたワゴン車を停め、問題の被害船舶へと移動する間、スーツ姿の城島はどことなく諦めに近い雰囲気で口を開いた。「
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<![CDATA[ <br />　　　　２<br /><br />　海上自衛隊沖縄基地に到着した面々は、その場で先に現地を訪れていた城島と合流した。<br />　そこからは、友利の事前の段取りによって特に時間を取られる事もなく、目的の船が係留されている岸壁へと移動する事になっていた。<br />　だが、その道中で城島から厄介な情報がもたらされる。<br />　基地の一角にチャーターしたワゴン車を停め、問題の被害船舶へと移動する間、スーツ姿の城島はどことなく諦めに近い雰囲気で口を開いた。<br />「今回の件、今までにも増して複雑な事になりそうですよ。湯島さん」<br />「どういう事だ、城島君」<br />　行政側の巨大生物対策組織の責任者として、民間組織のＤＥＭＩＯでは持ち得ない情報を持つ城島。<br />　この実直そうな巨漢は、洋美と同じ執行官の同化者として、その手の情報をいち早く一班へ回すようにしていた。<br />「今回の事件で被害にあった船は大半が日本の船籍です。しかし、最初の一隻目のタンカーだけはアメリカ船籍で、船主もアメリカの石油メジャーでした」<br />「それが、一体どうこの件に絡んで来ると？」<br />　怪訝な顔をして横の城島を見上げる洋美に、背後から相棒の声がかけられる。<br />「アメリカの海兵隊が乗り出して来るかもしれない。って事だよ」<br />「へぇ……って、なんで！？　今度の事件は全部日本の領海内での出来事でしょ？　なんでアメリカの軍隊がしゃしゃり出てくるわけ？」<br />「それくらい知っとけよ。いいか、アメリカ海兵隊っていうのはだな……」<br />　和人が概要を説明しかけたその時、割り込むように工藤が口を差し挟む。<br />「そこは俺が説明しよう。剣持に任せると偏った内容になりそうだからな」<br />「なんだと、この脳筋野郎！」<br />　いきり立つ和人は、すかさず士堂と佐々木によって宥められながら脇に押しやられてゆく。<br />「海兵隊ってのは、アメリカ国外での武力行使を前提とした、アメリカの権益を維持・確保するための緊急展開部隊の事だ。任務に国土の防衛を含まない外征専門の部隊で、まあ他の国では見られない種類の軍隊だな」<br />「だから自国籍の船が被害にあうと出て来るって事ですか？」<br />「ところが、事はそんな簡単でもない。今回の被害船舶は、中東から本州へ原油を運んでいたタンカーだ。そして、船主がアメリカの石油メジャーって所が問題でな」<br />「石油メジャーって、確かセブンシスターズとか言われてる世界の石油大手七社の事でしたよね」<br />「ああそうだ。当然知っているだろうが、石油は重要な戦略物資だ。その供給ラインがＤＴに脅かされるとなれば、米軍としても黙ってはいられないだろうな」<br />「工藤さんってそう言う事情に詳しいんですねー。さすがにその道の専門家です」<br />　と横から話に混ざってくるのは、西日本支部の友利である。<br />「私たち支部の調査課って、主に本部の方々を補佐する意味合いで組織されてるから、そういう専門的な分野には強くないんですよ。今の工藤さんの説明とか聞いていると、これがスペシャリストなんだなって思いました」<br />　場数を踏んだ工藤の佇まいに、友利は後輩が尊敬する先輩を見るかのような表情を向けていた。<br />「この程度は常識だな。だが、何かわからん事があったら聞いてくるといい」<br />　工藤は愛嬌に満ちた女性に称賛されてまんざらでもないらしく、腕を組んで大人っぽい余裕の笑みなどを浮かばせている。<br />　その様子に、残りの面々は半ば呆れたような顔をするばかりである。<br />「でも、工藤さんの言っている意味はよくわかりましたね」<br />　そう頷いた洋美の背に、僅かな間をおいて、どこか苦り切った和人の言葉がかけられる。<br />「工藤が言ったのはあくまで表向きの事情にすぎねえよ」<br />　普段通りの皮肉っぽい口調ではあったが、和人の声には諦観にも似た響きも混ざっていた。<br />「どういうこと？」<br />「米軍が海兵隊を動かすとしたら、何も戦略的な理由だけじゃないって事だよ」<br />「政治的な理由でもあるのかしら」<br />「政治的と言えば政治的だな。あまり良い方の政治じゃねえけど」<br />　達観的な様子で言葉を投げ出す和人に、その時全員が意識して耳目を向けていた。<br />「同じ自由主義の国でもさ、欧米なんかだと政治に対して産業界からの圧力が日本とは比べものにならんのよ。俗に言うロビー活動って奴だな」<br />　そこで煙草を取りだそうとした和人は、ここが禁煙区域であった事を思い出して舌打ちする。どうやら、明らかに機嫌が良くないようである。<br />「そういったロビー団体の数は、それこそ産業の種類と同じだけあるんだよ。自動車ロビー、鉄鋼ロビー、食肉ロビー、って具合にさ」<br />「ということは……」<br />「そう。圧力団体の中でも特に力があって、政府や軍部とベッタリな石油ロビーが米軍のケツをせっついて来るのは間違いないだろうな」<br />　言った和人が溜息をつくのを見て、洋美はむしろ話の内容よりそんな相棒の様子の方が気にかかる。<br />「事情はよくわかったけど、今日はなんか不機嫌そうね。和人」<br />「まあな。前にそういうアメ公の圧力団体がらみの仕事を請け負った時に、かなり嫌な思いしてるんでよ」<br />「仕事って、ＤＥＭＩＯ入る前にやってた裏の仕事って奴？　どんな仕事だったの？」<br />「お前には話してもいいけど何しろ時間かかる。いつか機会があれば、って事でな」<br />　苦笑した和人に体よくはぐらかされると、洋美は相棒の心情を察して素直に引き下がった。<br />　やがて、基地の中心部からやや離れた岸壁に一行が接近すると、そこに接岸されている二隻の大型貨物船の詳細が見えて来る。<br />　今回は基地の担当官による説明はなかった。<br />　事前に独自の調査を済ませ、全ての事情を把握している城島がその役割を担っているのである。<br />「さて、これがその問題の貨物船ですが、まずは船の概要から説明しましょうか」<br />　定番の黒白のツートンカラーに彩られた凹凸に乏しい形状。貨物を吊り上げるためのクレーンを要所要所に備えた船体の側面には『日興丸』と銘打たれていた。<br />「この二隻は日本の海運会社・真興郵船が所有する貨物船で、事件の最新と二番目に新しいの被害船舶です。手前側が日興丸、奥側が洋興丸。共に基準排水量１１０００トン」<br />「基地に係留されているのは、この二隻だけのようですね」<br />　工藤がそう確認を取ると、城島もいつも通りそつのない答えを返してくる。<br />「ああ。基地の面積の問題と、被害船舶は皆自力での航行が可能な事から、検疫を済ませ次第本土のドックや港湾に場所を移してるよ」<br />「という事はこの二隻はまだ検疫は済ませてないんですか」<br />「いや、済ませてはいるが、船体の損傷の仕方が比較的シンプルでね。我々にとっても恰好の調査材料になるから、船主に協力を仰いでここに留め置いてもらっているのさ」<br />　城島から大ざっぱな事情を聞いた一行の中で、佐々木は目を細めて日興丸の全体像を眺めている。 ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十八話</dc:subject>
<dc:date>2009-05-22T00:26:49+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十八話『ギゼンダ再び』　Ｐａｒｔ1-2</title>
<description> 　工藤が場の雰囲気に構わずセリフを述べようとしたその時、一同の脳裏に大人びたよくとおる女性の声が響き渡った。　戦女神ジール。　美しい白銀の巨体を持つ、洋美と同化した銀河の法の守護者。　その力は、これまで幾多もの巨大生物から人類を守り通し、洋美や一班の仲間たちと強固な信頼関係をも築いていた。　人々からはウルトラレディ・ジールの愛称で呼ばれ、超常の存在と目されている彼女ではあるが、その素性は一人の別の
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<![CDATA[ 　工藤が場の雰囲気に構わずセリフを述べようとしたその時、一同の脳裏に大人びたよくとおる女性の声が響き渡った。<br />　戦女神ジール。<br />　美しい白銀の巨体を持つ、洋美と同化した銀河の法の守護者。<br />　その力は、これまで幾多もの巨大生物から人類を守り通し、洋美や一班の仲間たちと強固な信頼関係をも築いていた。<br />　人々からはウルトラレディ・ジールの愛称で呼ばれ、超常の存在と目されている彼女ではあるが、その素性は一人の別の星の人類である。<br />　当然心と感情を備える彼女だが、今は普段見せる優しさや強さとは裏腹に、どこか悩んでいるような雰囲気を伺わせた。<br />「どういう事？　ジール」<br />　ジールと同化した洋美は、すかさず心配するような声色で自らの半身に聞いた。<br />“ギゼンダはネルザスの女王であると同時に、真に誇り高き戦士です。一度立てた誓いは命を賭しても必ず守り抜く人物です。今になって我々を裏切る事などありえません”<br />　古くからの好敵手であり、友とまで呼べる存在に昇華したジールとギゼンダ。<br />　その彼女を信じ抜こうとする強い意思が、ジールの声には滲んでいる。<br />“ギゼンダは確かに侵略を行うためにこの地球を訪れました。しかし、彼女は私がネルザスの侵攻を挫いた時に約束してくれたのです。……これからは、我々と共に生きると”<br />「ジール。気を悪くしたらすまんが、俺たちはこの調査書にある相手の特徴からすると、どうしてもギゼンダの姿しか思い浮かばないぞ？」<br />　湯島がそう言うのも無理はない。<br />　銀河で最強の戦闘種族と呼ばれるネルザス星人。先日、その女王の座を戴冠した真紅の戦姫ギゼンダは、異名が示す通り、まるで燃え上がるかのような紅の外皮を持っている。<br />　加えて強靱な四肢と力強い尾を備え、今回の事件を引き起こした巨大生物の目撃証言と一致しているのは明らかだった。<br />　その事実を提示されたジールは、一瞬身構えるように間を置くと、解説するよう丁寧に言葉を述べる。<br />“ゼクスノーツの手によって周辺一帯に解き放たれ、未だ無害化されていない怪獣の中にも、その資料で示されている特徴に当てはまる種は存在します。アゲンバル、ゴノーザ、ギガランテといった種がその条件に合致しますね”<br />「じゃあ、あなたはその内のどれかがこれから行く海域で船を襲ったと言いたいのね？」<br />“そうです、洋美さん。これだけ条件に合致する怪獣が存在するのです。それらを差し置いてギゼンダのみを疑うのは、合理的ではない上に失礼にあたりますよ”<br />　ジールの出した根拠に、大半の者は納得したような仕草で頷いたのだが、一人だけそうではない者もいた。<br />「しかしだなぁ、あのゼクスノーツの手による怪獣に襲われて、被害がこの程度というのも……」<br />　そこまで言いかけたのは工藤だが、すぐに隣の湯島がその厳つい肩へ手をやり、頭を僅かに振って言葉を遮った。<br />　その様子に、ジールは仲間たちが友への疑念を完全には解いた訳ではないと悟ったが、今の時点ではギゼンダの無罪を証明する事もまたできないとも知っていた。<br />“それでも、私はあなたを信じます。ギゼンダ”<br />　心の内で友へ語りかけた言葉は真っ直ぐな物であったが、同時に漠然とした不安が胸の内で広がり始めるのを、ジールは否応なく自覚してしまうのであった。<br /><br />　一行が那覇空港に到着したのは、初夏から盛夏に移り変わろうとする季節の一日であった。<br />　丁度昼過ぎに沖縄本島の地を踏んだ七人は、空港内で今回の事件調査に関わったＤＥＭＩＯ西日本支部の人員と落ち合う予定になっている。<br />　行楽シーズンにまだ早いとは言え、一地方空港とは思えない雑多さの発着ロビー。その片隅で、一行は案内役を待つ間に調査の手順を確認していた。<br />　被害のあった海域は、最初のタンカー原油流出事故に繋がった一件が、沖縄本島の北西５０㎞付近の海域。<br />　それ以来、ここ二週間ほど四日から三日に一度程度のペースで、大型の貨物船が巨大生物の襲撃を受けたとの報告がされている。<br />　貨物船が被害を受けた位置は、最初のタンカー襲撃の地点から徐々に北東へと位置をずらしており、鹿児島県奄美諸島ひいては本土へと迫っているのは明白であった。<br />　現段階における最後の被襲撃地点は、徳之島沖２０㎞の近海で、それが二日前の事である。<br />「これは、もう一度飛行機に乗らなきゃならないかもね」<br />　そう言って眉根を寄せたのは池上であった。<br />　被害範囲だけに絞って言えば、かつてないほど広範囲にわたる巨大生物災害であるだけに、これまでの事件に比べて状況の調査方法がわかりにくいのである。<br />　結局、沖縄本島の海上自衛隊基地に、何隻か係留されている被害船舶から手をつける事で意見が統一され、現地へ飛んでいる対策室の城島に連絡が取られていた。<br />　やがて、ほぼ予定通りの時間になって一行の前に姿を現したのは、対怪獣組織の調査員というより、観光ガイドと呼ぶ方が相応しい人物であった。<br />「はじめまして。ＤＥＭＩＯ西日本支部調査課の友利夏希です」<br />　年の頃が二十代前半の若い女性である。<br />　洋美たち東京本部の者と違って、友利はスラックスに半袖のＹシャツというラフな格好であった。無論ネクタイなどはしておらず、そのカジュアルさがむしろこの季節に相応しい。<br />　メッシュの入った茶色のショートカットに、目の大きい愛嬌のある整った顔立ち。どことなく緊張したような仕草と表情は、まだＤＥＭＩＯ調査課としての業務に慣れていない様子を伺わせた。<br />　体格はごく平均的で、長身な洋美と小柄な池上の丁度中間のほど。やはりＤＥＭＩＯの人間らしく引き締まった機敏な印象を漂わせている。<br />「お前さんが今回の案内役か。俺は東京本部調査課一班班長の湯島だ。今回は一つよろしく頼む」<br />　人見知りといった言葉とはまるで無縁な湯島が、友利と握手を交わしつつ軽く笑みを浮かべてみせた。<br />「今回の調査では、湯島さんたちの希望される場所を案内するよう言われています。大抵の関係先にはアポをとってありますから、遠慮無く希望先を言ってください」<br />「なら、まずは被害船舶の状況から見てみたい。それを係留している施設へ案内してもらえるか？」<br />「了解です。被害船舶を扱っているのは、海自の勝連基地ですね。ここからだと車で一時間といった所ですか」<br />　手持ちの手帳を開いて連絡先を確認した友利は、早くも携帯を取り出しつつ、空港の出口へ足を向けた。<br />　そして、一班の面々へ手招きで追随を促し、足早に雑多な人垣の中を進んでいく。<br />「勝連基地？　そんなのあったか？」<br />「海自の沖縄基地の別名だ、剣持。地元の人間ではそう呼ぶ者もいるらしい。掃海艇三隻を抱える沖縄基地隊の本拠地だな」<br />　元自衛官らしく的確な解説を入れた工藤は、調査機器類を担ぐと友利の後を追ってゆく。<br />　すかさずそこに続く洋美は、今回は調査すべき対象が明確ではない事態に、なぜか得体の知れない嫌な予感を感じていた。<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十八話</dc:subject>
<dc:date>2009-05-14T23:44:17+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十八話『ギゼンダ再び』　Ｐａｒｔ1-1</title>
<description> 　　　　　１　東京都品川区内。日ノ本出版オフィスビル２Ｆ。　主に写真週刊誌や青年向けコミック雑誌を主な発行物としている日ノ本出版は、創立２０年程の小規模な出版社である。　元は大手出版社が発行する週刊誌の編集長を務めていた現社長が、暖簾分けをする形で独立した企業であり、業界での評価はあくまで大手の子会社という物に留まっている。　だが、ゴシップネタを一切取り扱わず、堅実な情報を正確に発信する事によって
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<![CDATA[ 　　　　　１<br /><br />　東京都品川区内。日ノ本出版オフィスビル２Ｆ。<br />　主に写真週刊誌や青年向けコミック雑誌を主な発行物としている日ノ本出版は、創立２０年程の小規模な出版社である。<br />　元は大手出版社が発行する週刊誌の編集長を務めていた現社長が、暖簾分けをする形で独立した企業であり、業界での評価はあくまで大手の子会社という物に留まっている。<br />　だが、ゴシップネタを一切取り扱わず、堅実な情報を正確に発信する事によって、小規模ながら比較的安定した業績を残している企業と言えた。<br />　そんな小さな会社を支える柱の一つ『週間ビジュアル』の編集部は、眠りから覚めたかのように活気を取り戻している。<br />　現在に至るまで、日本及び世界の各地で頻発している巨大生物災害。<br />　そういった災害情報に関する増刊号を立ち上げて早数ヶ月。<br />　綿密な調査と慎重な報道の姿勢によって、正確性を堅持した記事を配信しているため、それなりに多くの読者を掴む事に成功はしている。<br />　ただ、その慎重な姿勢ゆえに情報を発信するタイミングが同業他社より一歩ほど遅れるのは否めない所であった。<br />　しかし、この日は様子が違った。<br />「編集長！　今回ばかりはチャンスです！！　今回こそは他社どころか、あのジールが問題を解決するより早く、怪獣被害の実態を世間にしらしめる良い機会なんですっ！」<br />　雑然としたオフィスの中で、編集長のデスクに一人の女性が詰め寄っている。<br />　中背ながらメリハリのきいた身体を覆う見た目の良いツーピース。<br />　一昔前ならオカッパと言われたショートボブの髪型に包まれた顔立ちは、卵形の輪郭に意志の強さを感じさせる顔立ちが備わっている。<br />　一際大きな眼もやや釣り気味ではあるが、それが逆にいかにも利発な雰囲気を伝えてくる。<br />　日本人としては平均的な高さだが、形の良い鼻筋と最低限の彩りを施した唇も、今は自らの強い希望を伝える意思に満ちていた。<br />　年の頃は二十代の後半。とにかくアクティブなイメージの強い女性であった。<br />「美幌、珍しいな。お前がこんなに押しを強くして詰めかけてくるなんて」<br />　別の編集員が書き上げた記事に校正の赤ペンを入れてから、編集長の大谷は顔を上げた。<br />「当然です、編集長。これまでは、我々が事件のあった地域へ取材に駆けつけても、大体はジールが怪獣を処理して自衛隊による後始末が始まっているばかりです。でも、今回の奄美諸島での事件は様子が明らかに違うんです」<br />「電話取材で何か掴んだのか？」<br />　事務的、というよりものぐさそうに言う大谷は、ボサボサの紙を掻きながら縁なし眼鏡の位置を指で直した。<br />　この画学生をそのまま中年にしたかのような、冴えない容貌の編集長は意外なほど物わかりが良い。と、編集部内では通っている。<br />　詰め寄った編集員の美幌恵子は、彼とは学校を卒業して以来の付き合いであるため、その性格はよく知っている。<br />「もちろんです！　事件の発生地域の特定は当然として、地元での取材先も幾つか決めてありますよっ」<br />「危険は？」<br />「今に至るまで当局による巨大生物災害の指定もされていませんし、奄美諸島全域で立ち入り禁止区域の設定もされていません」<br />「そうか。なら行って来てくれや。……人数はどうせ二人だろ？」<br />「はい。もうカメラさんは呼んでありますよ」<br />　思い通りに展開が進んだ恵子は背後に向き直り、部屋の片隅のソファで雑誌を読んでいる男を顧みた。<br />「後藤君！　許可が下りたよ」<br />「ありゃ、今回は意外と早かったんだね」<br />　片隅のカメラケースを肩に担ぎ上げながら、フリーカメラマンの後藤義行は立ち上がった。<br />　茫洋とした風貌を持つこのカメラマンは、本人の意思とは無関係に何かと巨大生物災害によくつきまとわれている。<br />　最初こそ驚愕と恐怖に取り乱してばかりだったものの、以前不本意ながら侵略者ゼクスノーツのメッセンジャーとなって以来、その心境にも変化が生じていた。<br />　もはやどこへ逃げようと、人間は巨大生物災害とは無関係ではいられない。<br />　そうである以上は、己にできる事を果たしてこの脅威に立ち向かう方が悔いが残らないという物である。<br />　また、先日の天王洲の一件で対策室から感謝状を贈られたという点も、この男の意思を定める一つの要因となっていた。<br />「さぁ、急ぐわよ、後藤君。今度こそ、事件の核心に切り込んだ記事を世間に発信してやるんだから！」<br />「俺は今度こそ平穏に済ませたいんだけどなぁ」<br />　そう後藤がぼやくものの、恵子はそれを殊更無視して編集部の出口へ歩んでゆくのであった。<br /><br />「奄美諸島沖でタンカーが巨大生物の影響によって座礁。か」<br />　ＮＰＯ法人ＤＥＭＩＯ研究部に所属する工藤豊は、ここまでの事件の概要を纏めたファイルを閉じると、脇の小型の密閉された窓に目をやった。<br />　眼下には海洋を表す紺碧の色彩と、雲を示す純白の連なりが連なっていた。<br />　それもそのはずで、現在彼を含めたＤＥＭＩＯ調査課一班は、南西諸島沖で発生した巨大生物災害の調査を政府に依頼され、現地へ飛んでいるのであった。<br />　その移動手段というのがまた特殊で、未知の生体組織を扱わねばならない関係上、一般の旅客機に便乗する訳にはいかない。<br />　より検疫の体制が整った移送手段が求められるのである。<br />　そこで、母体の世界的企業体である御津崎グループの力を駆使して、東京本部に近接する羽田空港へ常時専用のチャーター便を用意しているのである。<br />　とはいえ、よほどの遠隔地でもない限り、有事の際には徹底して安上がりな車での移動に徹していた。<br />　今回、調査課一班の移動に際して、調査課立ち上げ以来初めてチャーター便が用いられたのは、目的地が南西諸島の島嶼部であるためだった。<br />　なおかつ、事件発生からそれなりの時間が経過している上、現地では軽い被害が今も頻発していると言う。<br />「最初の巨大生物災害によるタンカー破損事故以来、同海域においては天候不順の夜間に限り、同一個体と思しき巨大生物による船舶の襲撃事件が発生している」<br />「なお、最初の事件以来、被害にあったのは全て排水量一万トン以上の貨物船であり、積載物はいずれも飼料・食料品に限られる。なお、この件における被害者は軽傷者が二名だけであり、今後の詳細な調査が望まれる」<br />　政府の、というよりはその巨大生物対策機関である『対策室』から与えられていた事前調査の資料。その締めくくりの部分をリレーのようにして読み上げたのは、士堂礼護と剣持和人であった。<br />　爽やかな好青年といった容姿を持つ和人は、そこで四対三の構図に別れて対面となった仲間たちに語りかける。<br />「これ、何なんだ？　ＤＴ襲撃時に全く逃げ場のない海上で、軽傷者しか出てないってのは」<br />「確かに、ＤＴがあえて船の乗組員に被害を与えないようにしている。としか思えんな」<br />　班長の湯島が、苦み走った顔の顎を撫でながら、溜息をつくように言った。<br />「それよりも、気になるのは前半に載ってる目撃情報の方なんだよね」<br />　それまで落ち着いた表情で様子を見ていた佐々木定之が、自前のコピーを開いて文章の一点を指し示した。<br />「被害船舶に乗り合わせた人物の証言によると、当該事件の加害者と思しき巨大生物は、長い尾と巨大な四肢を備えた形状であることまでが判明している。その他、信憑性の弱まる少数人数の目撃情報では、体表の色彩が赤色であると言われている」<br />「以上の情報によると、当該個体は海洋だけではなく陸上での行動力を持ち合わせている可能性を捨てきれず、周辺の島嶼部一帯へ監視体制の構築は急務と結論づけられる」<br />　佐々木に続いて女性生物学者の池上がその部分を読み上げると、一行の間に何とも言えない気まずそうな雰囲気が立ちこめた。<br />「海中からの襲撃、四肢と長い尾を持った体つき、そして赤い色。これって、まさかとは思うがギゼン……」<br />“違います。ギゼンダではありません”<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十八話</dc:subject>
<dc:date>2009-05-14T23:40:15+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>あとがき、雑感、18話予告</title>
<description> こんばんは、Feldenです。先日ようやく17話が完成しました。一番時間のかかった話ですが、とりあえず完成できてホッとしております。今回の話に登場させた怪獣は二体ほどいますが、それぞれ参考にした存在があります。後半から登場させた九頭竜は、もうそのまま九頭竜川流域の伝説に登場する九頭竜に登場して頂きました。そして、今回の主役怪獣を勤めさせたエルダイトですが、こちらにも実はモデルが存在します。皆さんは「the fu
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<![CDATA[ こんばんは、Feldenです。<br /><br />先日ようやく17話が完成しました。<br />一番時間のかかった話ですが、とりあえず完成できてホッとしております。<br /><br />今回の話に登場させた怪獣は二体ほどいますが、それぞれ参考にした存在があります。<br />後半から登場させた九頭竜は、もうそのまま九頭竜川流域の伝説に登場する九頭竜に登場して頂きました。<br />そして、今回の主役怪獣を勤めさせたエルダイトですが、こちらにも実はモデルが存在します。<br /><br />皆さんは「the future is wild」と言う作品をご存じでしょうか？<br />2003年にイギリスで製作されたテレビ番組、及びそれに基づいた書籍。<br />地質学者、古生物学者の肩書きを持つサイエンス・ライター、ドゥーガル・ディクソンが中心となり、何十人もの科学者へのインタビューに基づいて、未来の地球でどんな進化が起こり、どんな生命が現れるかを予想し画像などで表現した作品です。<br />年代は500万年後、一億年後、二億年後、とそれぞれ途方もない先の未来に現れるであろう生態系を予想した、いわば大人向けの知的エンターテイメントといった内容です。<br /><br />この日本でも好評を博し、数々の商品化がなされているこの作品ですが、ただの未来動物予想図と異なるのは、圧倒的なそのリアリティに依るところが大きいでしょう。<br />「the future is wild」に登場する動物群は、既存の生物が占めていた生態系の地位に、別の生物が進化を果たして入り込んでゆくという前提に立って予想されています。<br />そのため、登場する生物のどれもが、奇想天外ながら、思わずなるほど、と納得してしまう生物としての機能を備えています。<br /><br />その未来生物予想図の中で、一億年後にはカメの子孫で、トラトンという地球史上最大の動物が登場しており、それを今回の主役・エルダイトのモデルとさせて頂きました。<br />このトラトン、体高7ｍ、体重120tという巨体なのですが、それの数値は亀の子孫として備えている甲羅が、他の骨格を助けてその体を支えているからこそ存在できる、という論拠のようです。<br />そして、あまりにも巨体すぎるために天敵は存在せず、温暖な生息地域で毎日のんびりと草を食べて過ごす心穏やかな巨獣、という設定に私は心を引かれました。<br /><br />遙か以前の中生代の恐竜の時期にも、トラトンに準じる巨体の生物はいたようですが、いわばあの時代は現代からすると全て規格外の巨大生物の時代。<br />他の小型生物群の中に紛れ込んでしまった巨大生物の異質感を感じるには、少々無理があります。<br />小と大、というもっともわかりやすいコントラストをベースにした物語を書くにあたり、そのトラトンの存在は私にとって大いにインスピレーションを与えてくれました。<br /><br />まあ、基本的に勧善懲悪のヒーロー物ですので、描ける内容は決まってしまいますが、それでも作中で全く異なる生物同士が歩み寄ろうとした過程と、その結果を頑張って描いてみましたが、皆さんにとってはいかがでしたでしょうか？<br /><br /><br />閑話休題して、ここからは雑感。<br />今回のお話はモチベーションの低い中で仕上げてきた話ですが、更新のラスト三回くらいは、まあそれなりのペースで執筆できたんじゃないかと思っています。<br />その原動力の一つに、「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY」があります。<br />通称で大怪獣バトルNEOという、前作・大怪獣バトルの続編なんですが、やはり毎週ごとに懐かしのウルトラ怪獣が登場すると、それをリスペクトして創作している自分としても俄然やる気になれるという物です。<br /><br />ただ、今回の大怪獣バトルNEO、ちょっと前作にくらべてハッチャケ過ぎのような気もしますけど。(笑)<br />エレキングが前転して相手へチョップをかますとか、ゼットンが相手にシュミット式バックブリーカーをかけたり、あつまさえバック転して相手の攻撃を避けるなど、もうほぼ何でもアリ状態ですw<br /><br />これはもう、徹底的に若年層を狙った怪獣エンターテイメントとして売り出している事がよくわかり、ウルトラ物の王道に回帰してるんだなぁ、と見ていて思わずニヤリとしてしまいました。<br />やはり私は、見て頂く人に楽しんでもらってこそ、こうして創作を公開する価値があると思っている訳ですから、その意味でもとても良い刺激になっている作品ですね。<br /><br /><br />で、ようやく十八話の予告に入りたいと思います。<br /><br />巨大生物の襲撃により、南西諸島海域でタンカーが座礁。<br />それ以来、今度はなぜか食料を詰んだ船のみが、巨大な赤い影に襲われるという事件が続発する。<br />関係者一同が、その犯人をギゼンダと認定してゆく中、ジールだけは最後まで盟友の事を信じ抜こうとする。<br /><br />次回、Zeal of Ultralady 第十八話『ギゼンダ再び』にご期待ください。<br />久々にお気に入りのキャラの登場になりますので、執筆も早めに頑張って行きたいですね。<br /><br />久々に3Dモデリングなども再開しようとは思っていますが、どれも焦らずマイペースに進められたらと思います。<br />それでは、長文になってしまいましたが、ご覧頂きありがとうございました。 ]]>
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<dc:subject>日記・雑感</dc:subject>
<dc:date>2009-02-08T21:31:02+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十七話『俺と大怪獣』　Ｐａｒｔ10-1</title>
<description> 「今が最後のチャンスだよ。友達との別れを嫌な思い出にさせないための」「池上さん……」　年上の女性学者の顔と、上空の巨大な宇宙船、去りゆくエルダイト。　それらへ代わる代わる視線を向けた時、剛の脳裏にエルダイトと過ごした時間の記憶が、溢れんばかりに去来する。　ほとんど一瞬にして、闊達な少年は友の異質な姿に受けた恐怖を振り払い、横の池上へ切実な顔を向けた。「池上さん。やっぱり俺、あいつにお礼を言いたい！」
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<![CDATA[ 「今が最後のチャンスだよ。友達との別れを嫌な思い出にさせないための」<br />「池上さん……」<br />　年上の女性学者の顔と、上空の巨大な宇宙船、去りゆくエルダイト。<br />　それらへ代わる代わる視線を向けた時、剛の脳裏にエルダイトと過ごした時間の記憶が、溢れんばかりに去来する。<br />　ほとんど一瞬にして、闊達な少年は友の異質な姿に受けた恐怖を振り払い、横の池上へ切実な顔を向けた。<br />「池上さん。やっぱり俺、あいつにお礼を言いたい！」<br />　思い直した少年の言葉を受けた池上は、満面の笑みを浮かべて頷くと、即座にエルダイトへ付き添うジールへ呼びかけた。<br />「ジール！！　お願い。どうかこの子に、その怪獣と最後の別れをさせてあげてー！」<br />　滅多に出さない叫びではあるが、元々体格の小さい池上の声はそう大きい物ではない。<br />　だが、呼びかけられた白銀の戦女神は、まるでその声が予定調和であったかのように、淀みなく二人へ振り向いた。<br />　次いで、気球のようなスムーズさで宙に浮き、素早く小柄な女性学者と明朗な少年の目前へ飛来する。<br />　そして、そのまま膝立ちの体勢に腰を落とし、何かをすくい取る形に合わせた両手を、剛の目前へ位置させる。<br />“乗って下さい。あまり時間はありませんが”<br />　毅然と、だが優しく心に語りかけてくるジールへ頷き返すと、剛はその群青の掌へ飛び乗った。<br />　すぐにジールは滑らかな動作で飛翔すると、剛へ全く振動を感じさせずにエルダイトへ追いついた。<br />　青玉の大怪獣が、金色の光柱へ進入するまさに寸前。<br />　上空からその横手へ舞い降りた戦女神は、無言で純真な少年を乗せた掌を、青玉の大怪獣の目前へ差し出した。<br />「ごめん、エルダイト！　俺、さっきは助けてくれたお前に酷い事しちまった。本当にごめんよ！！」<br />『ＧＵＲＵ？』<br />　意外な展開に、どことなくあっけにとられた調子のエルダイトであったが、すぐにこの星で初めて心を許した少年を確認し、首を伸ばしてくる。<br />　巨大な顔面部がジールの指先に接触すると、剛はすかさずその鼻面に抱きついていた。<br />「ごめん。ごめんな。……あと、今まで本当にありがとう。二度も俺の事助けてくれて」<br />　言葉が通じるはずのない二人ではあるが、今やその想いは完全に一致したものとなっていた。<br />　少年の感謝の念を受けた大怪獣は、この時初めて金色の目を細めて口を開き、これもまた巨大な舌先で少年の横顔へ軽く触れていた。<br />　想いを込めた密度の濃い時間ではあったが、決して長くはなかった。<br />　最後のふれあいをすませた剛は、背後を顧みるとジールに語りかけた。<br />「ありがとうジール。おれはもういいから、エルダイトを故郷に帰してあげてくれよ」<br />　その呼びかけに頷いた戦女神は、僅かに背後へ下がりつつ、エルダイトの体を押した。<br />　ジールの意思を受けた青玉の大怪獣は、ゆっくりと黄金の光柱へ進入し、その中央部で足を止め剛たちへ振り向いた。<br />　次いで、剛を乗せる手を片手にした戦女神が、空いた右手を頭上の巨船に掲げて合図を送ると、光に包まれたエルダイトの姿が、不可視の足場に支えられたように上昇を開始する。<br />　その間、情によって結ばれた一人と一体は、互いの視線を強く絡み合わせたまま、最後まで視線をそらす事はなかった。<br />　自らの内部へエルダイトを収納した巨船は、出現時と同様に、まるで霞むように真名川ダムの上空からその姿を消していった。<br /><br />　そこまでの経緯を、現場より距離を置いた山中から、黙然と注視していた恭一郎とその父親の杉崎。<br />　杉崎の方は、凶暴な巨大生物による破壊が未然に防がれた事に、心から安堵する表情を形作っていた。<br />　だが、魔人と化した息子の方は、当然そのような感情を共有するはずもない。<br />「やれやれ。さすがにエルダイトが相手では、新たな地球生命体と言えど分が悪かったか」<br />　ただの感想としか聞こえない無感動な声に、その父親は我に返る。<br />「恭一郎、お前の目論みもそう上手くはいかなかったな。今見たように、人間はお前に取り憑いた悪魔の思い通りにはならん」<br />　この地上に生きる者としての誇りが詰まった声に、恭一郎は嘆息しつつ肉親へと正対した。<br />「父さん、僕たちの計画はこの段階で終わるような物ではない。と、先ほど伝えたはずですよ」<br />「なんだと？」<br />「今見た地球産の巨大生物は、あくまで誕生したばかりの不完全な物。あの竜型巨大生物の形状を思い起こして下さい。……首が九つもあるなど、情報の分散処理というささやかなメリットがあるだけで、生物としては明らかに非効率です」<br />　杉崎は、その言葉の指し示す事実を捕らえようと、再び渋面に戻って沈思する。<br />「そう。まだ進化過程の途中なんですよ、地球産の巨大生物という物は。……約五億七千万年前のカンブリア紀。我々の祖先である通常生物も、それまでの未熟な原生生物としての姿を捨て、実に多彩な形で能動的な種へと進化をして行きました」<br />「俗に言うカンブリア爆発か」<br />「ええ。その過程で、今の常識からは考えられない理解不可能な形状に進化した種もいます。しかし、その全ては生存競争に敗れて姿を消していった」<br />「という事は、今見たあの竜型巨大生物も、新たな地球生命体の失敗したモデルケースにすぎなかったという訳か」<br />「そうです。この地球において、生物が原生代から古生代へ多様性を持って進化していったケースが、今再び起きようとしているのです。今回はその一例に過ぎませんよ」<br />　もはや纏ったスーツにもたっぷりと雨を吸い込んだ恭一郎だが、それを意に介す様子は全くといって見られない。<br />「しかし、現在の巨大生物の進化は、原生代のそれとはまるで次元が違います。僅か数ヶ月といった単位で、その形状をより洗練された物へ変化させるほど、驚異的な速度を誇っているようなのです」<br />　父に対して丁寧な解説を施す恭一郎。その気配は、魔人としての邪気よりも、純粋な知的好奇心に捕らわれた学徒としての熱意が上回っている。<br />　だが、不意にそれもなりを潜め、元通りの底冷えするような冷笑が蘇った。<br />「さて、今回の観察はここまでにしておきましょう。……父さん、つきあって頂いてありがとうございました」<br />　言うなり長身の美青年は、背後に向かってその右手を一閃させた。<br />　その瞬間、雨の山中の景色が広がっていた視界一面が、奇妙な擦過音を伴って狭い範囲で歪んでゆく。<br />「では、僕は今回はここで失礼致します。また逢う時まで、父さんもお元気で」<br />　軽く笑いかけて背を向けた恭一郎に、杉崎の声が飛んだ。<br />「恭一郎！　なぜ私にこんな話をした？　お前たちの計画を知った私を、この場で始末はせんのか！？」<br />　言われた恭一郎は、僅かに間を置いて首だけを父親へ振り向ける。<br />「計画の内容を話したのは、あなたの一生徒としての義務のような物です。そして、僕が父さんに手を出さないのは、父を慕う息子として当然の事でしょう。……どうして僕が、自分をこの世に送り出してくれた肉親へ手を上げる事ができますか？」<br />　淀みなく言った恭一郎は、すぐに正面の空間の歪みへと踏入り、その姿をかき消した。<br />　たちどころに空間の歪みは修整されたが、その前で棒立ちになった初老の学者は、しばらくの間、その景色から目を離せずにいたままであった。<br /><br />　一つの巨大生物事件に幕は下りたのだが、慌ただしくなるのはむしろこれからの事である。<br />　ジールの手で池上の側へ返された剛は、彼女やその他の負傷者たちと共に、当局の手によって病院へ搬送される所であった。<br />　二人はほとんど外傷こそないものの、九頭竜の巻き起こした爆発で全身に衝撃を受けており、一刻も早く精密検査を受ける必要があったのだ。<br />　動作や反応がしっかりとしているため、救急車でなくＤＥＭＩＯの出すワゴン車へ搭乗した二人は、その後部座席でどちらからともなく言葉を交わしていた。<br />「池上さん。今回の事、本当にありがとう」<br />「どういたしまして。でも、エルダイトは君が素直な気持ちで対応したから、あんなに大人しくしてくれてたんだと思うよ。そう考えると、君も立派に世の中を守った事になるね」<br />　言われた言葉に、へへっと軽く笑った剛は、話題を変更してさらに池上へと語りかける。<br />「それで、俺今回の事を通して、池上さんに大事な事を教えてもらいました」<br />「生物学の事？」<br />「いや、最後の最後で俺に言ったじゃないですか。本当にわかり合うには、その相手の事をよく理解しないとダメだって」<br />「うん。確かに言ったわね」<br />「それを聞いて、思ったんです。相手が言葉を喋れない動物だからこそ、より多くの物事を考えられる人間が、気をつけてやらなきゃいけない。……ただ好意を寄せるだけなら動物にもできるけど、それ以上の事を相手にしてやれるのは、俺ら人間だけなんだって」<br />　それは、ある一面で真理に近い言葉であった。<br />　一瞬ながら目を丸くした池上だったが、すぐに普段以上の笑みを浮かべて首肯する。<br />「だから決めたんスよ。……俺、頑張って色々な事を学んで、きっと池上さんみたいな生物学者になるって」<br />「私の言葉で夢を持ってくれただなんて、ちょっと嬉し恥ずかしいかなぁ……」<br />　元々細い目をさらに細めた池上は、なんとも照れくさそうに自分の頭を掻いている。<br />「でも、剛君がそう決めたなら私も待ってる。君が学者になったら、一緒に色んな事を学んでいこうね」<br />「ハイ！！」<br />　強く頷く闊達な少年へ、池上は笑顔で自分の小指を差し出していた。<br />「じゃ、約束だよ」<br />　そうして、歳の離れた男女は、穏やかに指切りを交わし合ったのであった。<br />　その後も笑いを織り交ぜた会話を続ける中で、池上は思う。<br />　たった今、剛が言った知的生物としての優しさ。<br />　人々がそれを失わない限り、自分たちの世界はきっと滅びる事はないだろう。と。<br /><br />第十八話に続く<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十七話</dc:subject>
<dc:date>2009-02-06T07:49:10+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十七話『俺と大怪獣』　Ｐａｒｔ10-1</title>
<description> 　　　　１０「くう、いったぁい……」　軽い失神から目を覚ました池上が、頭を振りつつ意識をはっきりさせると、周囲の状況は一目で見て取れる。　そして、遠方で激突する巨大生物へ一瞬だけ目をやると、即座に脇で伏臥したままの剛へ近寄り、その状態をチェックする。「脈も呼吸も全部普通ね。よかったぁ」「うう、くっそ……」　すぐに剛も、池上と同じく参ったように頭を振って覚醒する。　そこに、遙か横手、ダム湖南岸の方角から
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<![CDATA[ <br />　　　　１０<br /><br />「くう、いったぁい……」<br />　軽い失神から目を覚ました池上が、頭を振りつつ意識をはっきりさせると、周囲の状況は一目で見て取れる。<br />　そして、遠方で激突する巨大生物へ一瞬だけ目をやると、即座に脇で伏臥したままの剛へ近寄り、その状態をチェックする。<br />「脈も呼吸も全部普通ね。よかったぁ」<br />「うう、くっそ……」<br />　すぐに剛も、池上と同じく参ったように頭を振って覚醒する。<br />　そこに、遙か横手、ダム湖南岸の方角から耳朶を打つほどの衝突音が轟いてくる。<br />　二人が弾かれたように顧みると、そこには戦いとすら呼べない一方的な光景が広がっていた。<br />『ＧＵＲＡＲＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡ』<br />　幾度目かのエルダイトの攻撃によって、禿上がった山肌へ為す術無く叩きつけられる異形の竜。<br />　本来穏和であるはずのエルダイトは、敵の前足を頑強な顎でカッチリと銜え込むや、その巨体を容易く振り回して大地に叩きつける。<br />「すげぇ、エルダイトの奴。やっぱ、本当はとんでもなく強えんだ！」<br />　だが、その場面を同時に見続ける池上は、元から細い目をさらに細め、眉間に大きな皺を寄せていた。<br />「剛君。これから起こること、何があっても見逃しちゃダメよ」<br />「えっ？　それってどういう意味っすか？」<br />「じきに分かるわ」<br />　短く言った年上の女性の言葉に、剛は釈然としないまま巨大な友の姿へ視線を戻していた。<br />　巨大生物同士の戦闘は、次の局面に移っていた。<br />　全身のいたる所から血を流し、苦痛に暴れる九頭竜。<br />　地響きを轟かせてその横に立った青玉の大怪獣は、勢いよく後肢で竿立ちになるや、強靱な前足を、思い切り敵の胴体へ叩き落としたのである。<br />『ＧＵＧＹＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡ！！』<br />　容赦のない１２０００トンの踏みつけを食らった瞬間、九頭竜は全ての首から血煙を噴き出し、そのまま僅かな痙攣を見せるだけとなってゆく。<br />「やった！　エルダイトがあの化け物をやっつけたぜ！」<br />　満面に喜色を浮かべた剛ではあるが、それは次の瞬間訝りの表情となる。<br />　動きが停止した九頭竜の首を、エルダイトはまたも巨大な顎で銜え込んだのである。<br />「え……」<br />　次の瞬間、気の弱い者であれば即座に失神するような場面が展開された。<br />　バツンッ！！<br />　青玉の大怪獣が桁外れの力を顎に込めると、九頭竜の首の一つは実にあっけなく咬み千切られていた。<br />　そこからの光景は、到底暴虐の二文字でしか表せない物であった。<br />　咬み砕き、引きちぎり、踏み潰す。<br />　知性をもたぬ動物だからこその残酷性は、その場面を目撃する者全てに、恐怖の念を抱かせずにはいない物であった。<br />　ものの数分で、九頭竜は原型を留めぬ肉塊と化し、エルダイトは今やその返り血を浴びて、全身を燃え上がるような紅に彩っていた。<br />「や、やめろよエルダイト！！　相手はもうとっくに死んでるじゃねえか！！」<br />　人であれば、自分の愛する者の魂が汚れてゆくのを好む者などいるはずもない。<br />　過剰なまでの残虐さを発揮するエルダイトの姿を見て、それまで思考停止に陥っていた剛は、たまらず制止の言葉を絶叫する。<br />　その声は、確かに青玉の大怪獣に届いたらしい。<br />　友の叫びを聞き取ったエルダイトは、今の今まで敵だった肉塊の破壊をやめ、ゆっくりと剛のいる方向へと振り向いてくる。<br />　そして、人間からすれば相当な速度、エルダイト自身にとってはごくゆっくりと、友情を結んだ少年に近寄って来たのである。<br />　しかし、その姿のなんと凄惨な事か。<br />　顔面の下半分は今も敵の返り血に染まり、首や胴体には蒼と紅の毒々しいマダラ模様が描かれていた。<br />　しかしながら、眼光は普段の穏和な物に戻っており、ゆっくりと剛の頭上からその様子を伺うべく落ちかかってくる。<br />「うわ、やめろ、く、来るな……」<br />　血臭を漂わせるエルダイトの頭部が間近に迫るや、剛は腰をぬかしてその場にへたり込み、さらには後ずさって距離を取ろうとする。<br />　しかし、すかさず池上が腰を落とし、脇からその両肩を抱いて諭すように言う。<br />「このエルダイトの姿は、君を守ったための物なの。だから逃げたらダメ！　これが動物という物なの！　君はその事実を受け止めなきゃいけないのよ、彼の友達なんだから！」<br />　池上とて、本心を言えば、すぐ側にいる血まみれの怪獣に対し、極度の緊張と恐怖を感じていた。<br />　しかし、今この時の思い出を、剛にとってトラウマとしないために、あらん限りの勇気を振り絞ってこの場に留まっていた。<br />「や、やだよ。やっぱ、コイツは怪獣なんだ。だからあんな残酷なマネできるんだ……」<br />　そう吐き捨てると、剛は涙すら流して背後を向き、その場で蹲ってしまう。<br />『ＧＵＵ……？』<br />　地鳴りのように響くエルダイトの息づかいが、明らかに普段と様子の違う剛に接近する。<br />　しかし、一度巨大生物への恐怖に捕らわれた少年の心は、未だ激しく混乱したままであった。<br />　あまつさえ、蹲ったまま脇の土塊を掴むや、それを背後のエルダイトへ投げつけたのである。<br />「あっち行っけよ！　さっさとジールに自分の星へ送ってもらえよぉ……」<br />　それまで全く諍いなど存在しなかった相手から、まさかの拒絶を突きつけられた青玉の大怪獣。<br />　だが、エルダイトは一度僅かに首を引くと、もう一度鼻面を剛へ接近させる。<br />　そこにも二度目の砂利が投げつけられると、とうとうエルダイトは巨体を後ずさらせ、背後のダム湖へ身を引いた。<br />　無表情に全身を反転させると、今度は雨の中で立ち尽くすジールへと近寄ってゆく。<br />　エルダイトは、その野生動物のごとき直感によって事態を朧気に悟っていた。<br />　本来自分の生きるべきでないこの世界から、あるべき場所へ帰還するためには、あの白銀の二足歩行の生物に従うしかないと。<br />　今までの出来事など全く意に介していないようなその後ろ姿を、先に認めたのは池上の方である。<br />　瞬間、この聡明な女性学者は、普段のイメージにそぐわない素早さを発揮していた。<br />　頭を抱えて蹲る剛の襟を鷲づかみにするや、自分より重い相手を力尽くで引き起こして強引に振り向かせた。<br />　そして、容赦のない往復ビンタをかまして呼びかける。<br />「剛君！　このままエルダイトと別れたら、君は絶対に一生後悔する事になるよ！！」<br />「い、池上さん……」<br />「いい？　あのエルダイトは確かに怪獣だけど、君のことを本当に大事に思っていた。でもね、知性を持たない動物に対しては、こっちから相手を理解した行動をとらないと、本当にわかり合うことなんてできないんだよ！？」<br />　ビンタの衝撃と、叩きつけるような言葉の内容に、強ばっていた少年の顔がほぐれてゆく。<br />　まさにその時であった。<br />　全く唐突に、上空に垂れ込めていた厚い雨雲が割れ、燦然たる輝きが周囲一帯に投げかけられた。<br />　レーザーほどではないものの、明確な指向性をもったその光は、陽光というよりはスポットライトに近い人工の物である事が伺えた。<br />　そして、それを地表へ照射する物体の巨大さは、決して人の手による物ではない事を物語っていた。<br />　先日、伊豆諸島海域より東京湾岸にかけて現れた、ネルザス星人の星間航行用戦艦グロンダイク級にこそ及ばないものの、全長は優に五キロに達する長大な物であったのだ。<br />　それほど巨大な船ではあるが、船底全体から周辺区域全域へ柔らかな光を投げかけており、呆然と見上げる人々を不安に陥れるような事はなかった。<br />　形状としては、どこか無機的であったグロンダイク級とは対照的に、意匠化した巨鳥のような躍動感と有機性を感じさせる、純白の船体であるのが見て取れた。<br />「こ、これは……」<br />「多分、ジール達の文明の船よ。エルダイトを迎えに来たのね」<br />　池上が事実を述べると同時に、変化は起きた。<br />　船底中央部と思しい部分から、柱状の黄金の光がほぼ垂直に地表へとのばされてゆく。<br />　巨大な黄金の光柱は、直立してその船を見上げるジールの真横へ正確に投げかけられ、変化を停止する。<br />　光の照射される範囲は、ダム湖南岸一帯の半径１００メートルにわたる範囲である。<br />　そして、そここそが、エルダイトを故郷へ帰還させるためのゲートとなっているのは、もはや誰の目にも明らかであった。<br />　全てを悟った青玉の大怪獣は、光に照らされた一角へ、迷いもせずに歩み寄ってゆく。<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十七話</dc:subject>
<dc:date>2009-02-06T07:48:15+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十七話『俺と大怪獣』　Ｐａｒｔ9-2</title>
<description> 　どうにか身を起こそうとした瞬間、今度はその両足首へ二つの首に牙を突き立てられ、足の自由を封殺されてしまう。　危険を察知し、どうにかそれを払いのけようとする上半身にも、残りの首が恐ろしい速度で殺到した。　全身の可動できる部分の数は元から比べものにならない。　必死にあがくジールの左腿、両腕、左肩へ、次々と突き立てられてゆく竜の牙。　浅瀬から引き起こされて宙づりにされる戦女神。　そのまま、右脇腹と首に
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<![CDATA[ 　どうにか身を起こそうとした瞬間、今度はその両足首へ二つの首に牙を突き立てられ、足の自由を封殺されてしまう。<br />　危険を察知し、どうにかそれを払いのけようとする上半身にも、残りの首が恐ろしい速度で殺到した。<br />　全身の可動できる部分の数は元から比べものにならない。<br />　必死にあがくジールの左腿、両腕、左肩へ、次々と突き立てられてゆく竜の牙。<br />　浅瀬から引き起こされて宙づりにされる戦女神。<br />　そのまま、右脇腹と首にもだめ押しとばかりに食らいつかれると、たまらず苦痛のうめき声が口をついてしまう。<br />“うううっ！！”<br />　完全に身動きを封じられたジールを、さらなる攻撃が襲ったのは直後の事だった。<br />　なんとか敵の拘束を逃れようともがく白銀の体が、瞬間的に雷のごとき大電流に包まれる。<br />“あ、ぐあああああああっ！！”<br />　以前浴びせられたゼクスノーツすら上回る威力の電撃に、ジールと洋美は全身を仰け反らせて悲鳴を上げた。<br />　さらには、今回は全身を拘束されている上、敵の素性も知れないために、歴戦の戦士であるジールと言えど効果的な反撃手段を取れない事態に陥っていた。<br />　時間にして３０秒の後、ようやく異形の竜はその攻撃を停止する。<br />　しかし、九頭竜によって思う存分雷撃を流し込まれたジールは、全身を襲う苦痛が去った後も、ダメージのあまり四肢を弛緩させ、荒い息を継ぐ事しかできずにいる。<br />“ハァッ、ハァッ……こ、このままでは！！”<br />　脱出の手段があるにはある。<br />　しかし、通常戦闘時の切り札となる全身からのプラズマ放射は、この場で使用した場合、間違いなく周囲の人々や穏和な大怪獣に、その余波で被害をもたらしてしまう。<br />　戦女神が逡巡した一瞬に、九頭竜のさらなる攻撃がその身を襲った。<br />　力を溜め、再び雷撃を放てるようになった九頭竜に、容赦のないそれを打ち込まれ、再度ジールは苦悶の舞踏を演じさせられてしまう。<br />“ぐうううっ、うあああああああっ！！”<br />　たまらず漏れた苦鳴は、戦女神の紛れもない窮地を示す危機信号として、否応なく周囲の人々へ突きつけられていた。<br /><br />「ジ、ジールが危ねえっ！！」<br />　九頭竜による青玉の大怪獣への攻撃。<br />　その余波で大混乱に陥ったエルダイト保護現場において、剛と池上は少しでもその場を離れようと、ダム下流方面へ己の足で移動を開始していた。<br />　しかし、寸前まで剛といつもながらのスキンシップを図っていたエルダイトは、九頭竜の最初の攻撃を受けると、普段の鈍重さはどこへやら、オロオロとその巨体をダム湖の中で不安げに身じろぎさせるばかりである。<br />　それでも、めざとく剛をみつけて後について来ようとするため、徐々にジールと九頭竜の戦闘現場から間を取る結果になっていた。<br />　しかし、ここに来て、とうとう白銀の戦女神が異形の竜に捕らわれ、その攻撃によって窮地に陥っている。<br />　ジールの素性を知る池上は無論のこと、数日前その優しさに触れた剛も、遠くに眺められる彼女の不利に凝然と事態を見守る事しかできずにいた。<br />「剛君、急いでここから逃げないと！！　ジールはきっと大丈夫だから！」<br />「い、池上さん……」<br />　あの美しい白銀の巨神が親友である事を知っている女性学者は、整った顔立ちにどこか不安げな陰を浮かばせながらも、必死な様子で剛へ避難を促した。<br />　しかし、事態はそんな人間の思惑よりも遙かに危険な物であった。<br />　剛の移動に伴って、己から位置を遠ざけるエルダイトを見つけた九頭竜は、ほとんど本能的に逃走を妨害するための攻撃を見舞ってくる。<br />　捕らえたジールへの攻撃を一時中断するや、白銀の体へ牙を突き立てていない唯一の首から、逃げるエルダイトのまさに目前へ、大威力のエネルギー流を撃ち込んだのである。<br />　湖北岸の国道に着弾し、大爆発と共にそれを寸断する九頭竜の破壊光線。<br />　その爆発の余波は凄まじく、百メートル以上は離れていた池上と剛や、共に逃走する幾多の人間たちをそれだけで吹き飛ばしていた。<br />　爆風に弾かれる瞬間、猫のような女性学者は己より背の高い少年を、とっさの判断で地に押し倒して被害を軽減する。<br />　しかし、下草の生い茂る路肩へ飛ばされたとは言え、仮にも巨大生物の手による攻撃である。<br />　想像以上の衝撃によって、池上も剛もその意識を失って地に伏していた。<br />　全て九頭竜の狙い通りと言うべきか、逃走するエルダイトの動きもまた綺麗に停止していた。<br />　だが、現在この土地に存在する誰もが気づいていなかった。<br />　今の九頭竜の行為こそ、本来穏和な青玉の大怪獣を激変させる引き金となった事を。<br />　しばし事態が飲み込めていないかのように、エルダイトはせわしなく周囲へ視線を飛ばしていたが、やがて情を通わせた小さな少年の姿を発見する。<br />　やや慌てたようにその長い首を折り曲げ、地に突っ伏した剛と池上へ厳つい顔を近づけ、その様子をじっと伺っている。<br />　その間にも、戦女神を捕らえた異形の竜から幾度となく砲撃が浴びせられてくるが、もはや青玉の大怪獣は身じろぎ一つさせずにいた。<br />　感情の起伏がほとんど伺えない顔立ちで、ただ一心に倒れた剛へ視線を注ぎ続けている。<br />　そして、変化は唐突に訪れた。<br />『ＧＯＧＵＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡ！！』<br />　攻撃者のいる方角へ、勢いよく振り返ったエルダイトの口腔から、雷鳴を数百倍にもしたかのような凄まじい咆吼が迸る。<br />　その音量たるや、もはや言語を絶する物であった。<br />　エルダイトから周囲３００メートルの範囲にいた人間は、聴覚の限度を超えた音の響きによって意識を飛ばされ、軒並み地に倒れ伏す。<br />　それだけではない。<br />　竜の咆吼、千里を駆け、大山を砕く。という伝説の通り、その口から放射された衝撃波は、５００メートルは離れた位置に存在していた異形の竜を撃ち、その巨体を周辺の山肌へ叩きつけていた。<br />　拘束を解かれてに投げ出されるジールには目もくれず、青玉の大怪獣は怒濤の勢いでダム湖を横断し、すさまじい地響きを鳴り響かせて九頭竜へ突進する。<br />　どうにか山肌から身を剥がした九頭竜へ接近すると、エルダイトは自分に匹敵する巨体をその長大な首で易々と真名川ダムの空中へとカチ上げた。<br />　再び脇の山の斜面に叩きつけられ、苦痛に全身を暴れさせる異形の竜へ、エルダイトは容赦なく二度目の大咆吼を浴びせて弾き飛ばす。<br />『ＧＯＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡ！！』<br />　首を振りたくり、ここ数日来の穏和さをかなぐり捨てて猛り狂うエルダイト。<br />　その双眸に宿っているのは、普段無愛想ながらも、どこか穏やかであった雰囲気ではない。紛れもない敵愾心と闘争本能の炎である。<br />　そう。今この青玉の大怪獣を支配する感情は、愛する者を傷つけられたが故の、凄まじい怒りであったのだ。<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十七話</dc:subject>
<dc:date>2009-01-27T02:24:03+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十七話『俺と大怪獣』　Ｐａｒｔ9-1</title>
<description> 　　　　９　一斉砲撃を受けてよろめいたエルダイトが、攻撃者の九頭竜へ首を振り向けた時、相手はすでに二整射目の体勢に入っていた。　だが、九つの閃光が放たれる寸前、異形の巨大生物は上空から落ちかかってきた白銀の雷光によって弾き飛ばされる。　自分の倍はある巨体を弾き飛ばした銀と青の巨影は、降り注ぐ雨の中、均整の取れた身を湖の中に立ち上げた。　女性としての美しさの中にも、引き締まった強靱さを持つ巨大な麗姿
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<![CDATA[ <br />　　　　９<br /><br />　一斉砲撃を受けてよろめいたエルダイトが、攻撃者の九頭竜へ首を振り向けた時、相手はすでに二整射目の体勢に入っていた。<br />　だが、九つの閃光が放たれる寸前、異形の巨大生物は上空から落ちかかってきた白銀の雷光によって弾き飛ばされる。<br />　自分の倍はある巨体を弾き飛ばした銀と青の巨影は、降り注ぐ雨の中、均整の取れた身を湖の中に立ち上げた。<br />　女性としての美しさの中にも、引き締まった強靱さを持つ巨大な麗姿。<br />　鈍色の甲冑に映えるプラチナブロンド、真実を見通すかのような群青の目、胸には生命を育む海洋のごとき色の結晶体。<br />　それは、有害巨大生物という災害から、身を挺して人々を守護する白銀の戦女神、ウルトラレディ・ジールの姿に他ならない。<br />　麗しき白銀の戦女神は、背後の穏和な大怪獣が、全くと言っていいほど傷を負っていない事実を認めると、新たに現れた異形の竜へ素早く向き直る。<br />“洋美さん。いきなりで申し訳ないのですが、この地球において、あのような形状に類似した生物は他に存在している物なのでしょうか？”<br />　珍しい事に、今回は相対する巨大生物についての質問をジールの方が洋美へ飛ばす。<br />“いえ、未確認情報でさえ存在してる形跡はなかったわ。……通常生物に指や触手が何本もあるのとは訳が違うもの”<br />“そうですか。では、可愛そうですが殲滅を目的として戦いましょう”<br />“わかった。……でも、あのエルダイト、動かないわね”<br />　さりげなく言った洋美の一言には、多分に安堵の念が含まれていた。<br />　先日の会議時に出た、エルダイトと新たな怪獣による戦女神挟撃の可能性は、ただの取り越し苦労に過ぎなかったとわかり、ジール自身も内心微笑する。<br />　二人の安堵は、自らの負担が予想より小さかったためではない。<br />　あの青玉の大怪獣と心を通わせる少年の想いを、無惨に砕かずに済んだがための物であった。<br />“さあ、行きますよ！”<br />　普段通りの力強い構えを取っていたジールは、やにわに湖底を蹴って九頭竜へと突進する。<br />　疾走する戦女神の巨体は、濡れた装甲外皮が普段とは別種の質感を湛えており、それが吹き付ける風雨によって霞がかる様は、まさに幻想的としか言いようのない美しさを誇っていた。<br />　首の長さから予想できる九頭竜の攻撃可能な範囲。そこへ踏み入る瞬間、ジールは左腕を一閃させた。<br />　迸るレーザーの光条は四筋。<br />　それぞれが一つずつ敵の首を撃ち、小規模な爆発と衝撃波を誘発する。<br />　その初撃に怯んだ九頭竜の左側面へ回るや、白銀の戦女神は渾身の力を込めたストレートを敵の脇腹に叩き込む。<br />　だが、異形の竜もエルダイトに匹敵する巨体だけあり、僅かにぐらついただけでジールの攻撃に耐えきってしまう。<br />　反撃の尾の一撃をバック転で交わした時、すぐ目前には襲い来る九つの首があった。<br />　その全てをジールは躱し、弾き、受け流すことで無効化するが、さすがに反撃を返すまでには至らない。<br />　間を取ろうと背後へ大きく飛ぶが、そこにも予想外の素早さで詰め寄ってくる漆黒の異形竜。<br />“クッ！”<br />　やや上方から撃ち出される無数の咬撃を、ジールはあえて前方へ身を投げ出す事で回避する。<br />　そのまま素早い前転をこなして身を立ち上げた時、すぐ目の前に九頭竜の横っ腹が位置していた。<br />　瞬間的に右手の光線剣を発生させ、全身を使って斬撃を繰り出そうとした瞬間である。<br />　横合いから幾つもの重い打撃を纏めて食らい、ジールは湖のまっただ中へ叩き込まれてしまう。<br />　仰向けに水中へ倒れ込んだ戦女神が、その身を起こそうとした瞬間、真上から強靱な前足がのし掛かってくる。<br />“ぐうっ！”<br />　強力な踏みつけを見舞われ、再度湖底に押し戻されたジールの中で、洋美は意外なほど機敏な敵の反応速度に驚愕していた。<br />“こいつ、似たような体格なのに、エルダイトよりずっと素早いなんて！”<br />　その疑念には、自らを踏みつける敵の足を支えたジール本人が、苦しげに答えてくる。<br />“これは、私の予想ですが……相手の九頭竜は、多数の脳を持つ事によって、情報の分散処理を可能としているのでしょう。一つ一つの脳の容量は知的生物に劣っていても、外部情報の処理、自らの肉体への指令伝達といった面では、役割分担をする事で非常に高い効率的を出しています”<br />　さすがに、重量が己の数倍はある巨大生物の圧力は凄まじい物があり、言い終えたジールは苦しげに呻き声を上げた。<br />　そして、そのまま一切の動作を停止し、時間の経過を待つ。<br />　時間にして約二分。<br />　活動時間に制限のある執行官からすれば、極めて貴重な時を投資したジールだが、すぐにその恩恵を回収する機会は訪れた。<br />　獲物の活動が沈黙した事を認めた九頭竜が、巨大な前足をどかし、様子を伺うように九つの首を水中のジールへと伸ばしてくる。<br />　瞬間、百メートル近い巨大な水柱を立ち上らせながら、白銀の巨体が跳ね起きる。<br />　秒間十数発の猛打を敵の首にたたき込みながら、弾けるように距離をとるジール。<br />　無造作に背後の湖へ着地すると、自らの半身へ言葉をかける。<br />“思った通りです。この程度の詐術にかかるなど知的生物ではない証拠。……それをふまえて戦えば、負ける事はないでしょう”<br />　再び構えを取り直したジール。<br />　その目前で、九頭竜は再び全ての頭部を乱雑に展開させ、鰐のごとき口をかき開く。<br />　青玉の大怪獣すら揺るがした大威力の砲撃の予兆に、ジールは回避行動に一度入ろうとして、すぐに何かを思い返したようにその場へ踏みとどまる。<br />　間髪入れずに発射された、九頭竜のエネルギー放射。<br />　すかさず空間歪曲の盾を構成し、それを上方へと散らす戦女神だったが、今度の九頭竜の砲撃は九連撃では収まらない物であった。<br />　九つの首で、代わる代わるエネルギーの充填と射出を繰り返す事により、絶え間ない破壊光弾の連射をジールへと浴びせてくる。<br />　しかし、そのあたりは白銀の戦女神にとっても予測済みであったらしい。<br />　左手の盾を全面に押し出しつつ、右腕に光線剣を発生させ、さながら西洋の騎士のごとく猛然と異形の竜へと突進する。<br />　そして、僅かに背後を顧みて、己が守ったエルダイトや、その周囲の人々の無事を確認すると、無言で武器を携えた右腕に力を込めた。<br />　盾を消しつつ、襲い来る破壊光弾を残らず青き光線剣で叩き落とし、迅雷の早さで九頭竜の側面へと駆け抜ける。<br />　すれ違いざまに浴びせた一閃が漆黒の鱗を切り裂き、通常の生物と変わらぬ赤き血を噴出させた。<br />『ＧＯＳＹＵＡＡＡＡＡ！！』<br />　全ての首から苦痛の咆吼を迸らせる九頭竜。<br />　しかし、その反撃は唐突で、戦女神の一番の弱点を突く物であった。<br />　ジールが位置する右側の四つの首は、そのまま白銀の麗姿に向かって、残りの五つは己の正面で慌てたように身じろぎするばかりのエルダイトへ向け、それぞれ同時に口腔をかき開いたのである。<br />“いけないっ！！”<br />　破壊の閃光が撃ち出されるより早く駆け出したジールは、まさに一瞬の差でエルダイトと九頭竜の合間に身を割り込ませた。<br />　しかし、横っ飛びに投げ出した白銀の肢体は、強烈な閃光の直撃を受け、木っ端のように弾かれてダムの水面に叩きつけられる。<br />“ぐっ、ううっ……”<br />　九頭竜の撃ち出したエネルギー流の威力は凄まじい物があり、さしものジールも全身から蒸気を立ち上らせつつ、しばしダムの浅瀬で仰臥したまま起き上がれずにいた。<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十七話</dc:subject>
<dc:date>2009-01-27T02:22:49+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
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<title>Ｚｅａｌ ｏｆ Ｕｌｔｒａｌａｄｙ 第十七話『俺と大怪獣』　Ｐａｒｔ8-2</title>
<description> 「地球は今より、中生代など比較にならない巨大生物の時代に入る。その過程で、現生人類は環境に適応するため、さらなる進化を遂げるでしょう」　さらに周辺への震動は大きさを増し、今や自力で立っている事すら難しい程であった。「人類の新たな進化、だと？」「ええ。星の環境と調和し、絶対的な精神の安定性と、物質に依存しない力を兼ね備えた完全なる知的生物。……地球にとって害毒に過ぎない人類が、逆にもっともこの惑星と調
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<![CDATA[ 「地球は今より、中生代など比較にならない巨大生物の時代に入る。その過程で、現生人類は環境に適応するため、さらなる進化を遂げるでしょう」<br />　さらに周辺への震動は大きさを増し、今や自力で立っている事すら難しい程であった。<br />「人類の新たな進化、だと？」<br />「ええ。星の環境と調和し、絶対的な精神の安定性と、物質に依存しない力を兼ね備えた完全なる知的生物。……地球にとって害毒に過ぎない人類が、逆にもっともこの惑星と調和した存在になるのです。これこそ究極の廃物利用だとは思いませんか？　父さん」<br />　息子の述べる話の突飛さに、その道の権威ともあろう杉崎が圧倒されていた。<br />　不安と怯えを混ぜた表情で、眼前の恭一郎を見据える顔は、もはや人間とは別の生物を見ているかのようであった。<br />「……だが、仮に人間が巨大生物の跋扈するその環境に適応できなければどうなる！？」<br />　その声を聞いた魔人の人間体は、やや呆れたように肉親を見下ろした。<br />「滅びるだけですよ。どちらにしろ、この星にとって最大の害毒がなくなるだけの事」<br />　そこで一拍おくと、すぐに元の父を慕う息子の笑顔となって言葉を続ける。<br />「無論、そうならない事を願っています。僕としても、完全なる知的生物としての力は是非とも手にしたい物ですから」<br />　この瞬間、環境学の権威・杉崎隆太郎は、息子がもはや自分の手の届かない位置に存在している事を悟っていた。<br />「さあ、共に見届けましょう。この星が生み出した、新たな生命の形を！」<br />　恭一郎の声色は、今や歓喜に震えんばかりの様相を呈していた。<br /><br />　巨大な振動が走り抜けた時、洋美は素早く自らの腕時計に目をやった。<br />　午後五時直前。<br />　ジールの説明によれば、執行庁の怪獣保護部隊が到着する時刻は、もう少し先の事である。<br />「来たな」<br />「ええ、来たわね」<br />“来ましたね”<br />　和人の呟きに、洋美とジールの双方が反応した。<br />「問題は、相手が一体どこから出て来るのか、だな」<br />　銜え煙草の湯島が、待機所のテントの入り口を開き、ダム湖一体の景色を双眼鏡で眺め回す。<br />　しかし、徐々に地鳴りは激しさを増すばかりで、一向にその原因となる存在を露わにしない。<br />　見れば、遠くに位置するエルダイトも飼料の山から顔を上げ、何やら不審そうな、それでいてのんびりとした調子で周囲を睥睨している。<br />　この光景を目にとめた佐々木が、いきなり素っ頓狂な声を上げた。<br />「そうだ！　今、池上さんはエルダイトと最後のお別れをする剛君に付き添ってます。こんな異変が起きた以上、呼び戻しましょう！」<br />　慌てたような指摘に反応して、工藤が腰から班員用の無線機を取り出した時であった。<br />　エルダイトの位置する湖中央部よりさらに南西、ダム湖上流部において、突如巨大な水柱が立ち上る。<br />　そして、巻き起こされた大量の水煙が風に吹き散らされた時、一行は初めてこの土地に現れた二体目の巨大生物の姿を目にしたのである。<br />「あれは、竜か！？」<br />　呆然と言った士堂の一言が、その姿を的確に表していた。<br />　水と雷の化身。東洋の文明においては神性を持つ幻獣、西洋においては悪の属性を司る魔獣。<br />　今、一班の面々の視線の遙か先に存在するのは、まさにその空想上の存在が形を得た物であった。<br />　頑強な鱗を体表に備え、スマートながら実に強靱な四肢を誇る四足歩行型の体躯。背後へ伸びた鰐のごとき長大な尾。<br />　そして、鋼線がより合わさってできたような極太の首筋の先には、枝分かれした二本の角を持つ伝説通りの頭部。<br />　黒曜石のような黒光りする質感を全身に持ち、雄々しいまでに豊かな鬣と、首から尾に至るまで生えそろった背びれのみが白い色彩を放っている。<br />　軽く１２０メートルに達する全長の先にある頭部。その中の黄色い双眸が、獰猛な光を湛えてある対象を見据えていた。<br />　すなわち、未だ事情を飲み込めていないかのように、その場で佇む青玉の大怪獣エルダイトを。<br />「……狙ってやがる。新たなあの怪獣は、エルダイトの事を明確に敵として認識してやがるぞ」<br />　湯島が吐き捨てるように言った矢先、またもその怪獣に変化が現れた。<br />　あろう事か、頸部の側面に存在していた八つの突起部を先頭にして、首そのものが分離を始めたのだ。<br />　より合わさった大縄がほぐされて行くように、その怪獣はものの十数秒で九つの首を持つ異形へと変貌していた。<br />　そうして出来た九つの頭は、どれも元となったそれと変わらぬ竜の面貌を誇っていた。<br />「ありゃ、九頭竜じゃねえか……。まさかおとぎ話だと思ってた物が、本当に存在するなんて驚きだ！」<br />　それまで、離れた位置でエルダイトの様子を眺めていた剛の父が、地元の昔話を元に、その怪獣の名を明かしていた。<br />　それを聞いた湯島は、何も言わずに横手の工藤へ鋭い目配せを飛ばす。<br />　洋美たちと共に幾多の修羅場をくぐり抜けた元自衛隊員もさる物で、即座に正へ駆け寄って、避難をすべき方向へと誘導してゆく。<br />　その行方を見届けると、一行は改めて新たな怪獣・九頭竜へと向き直る。<br />「この土地を流れる川が九頭竜川というのは、無数にある支流を竜の頭に見立てた物だからと聞いてましたが、本当にそれを擬した怪獣が出て来るなんて」<br />「ジールは、あいつについての知識を持っているか？」<br />“申し訳ありません、剣持さん。あのような通常生物ではありえない身体構造を持つ存在は、私にとっても初めて目にする物です”<br />　案の定というべき答えが戦女神からもたらされた時、とうとう九頭竜はその行動を開始した。<br />『ＧＩＳＹＡＡＡＡＡＡＡ！！』<br />　長大な九本の首を乱雑に拡散させるや、自らが狙いと定めた青玉の大怪獣に向かって一斉に口腔をかき開く。<br />　直後、それぞれの口内が輝くや否や、目映いまでの輝きを放つエネルギー流が迸った。<br />　通常の怪獣が放つ攻撃を、キッチリ九倍にもしたかのようなその砲撃は、狙い違わずエルダイトへ直撃し、その巨体をよろめかせた。<br />　重苦しい雨の景色の中で巻き起こる、爆炎と光の奔流。<br />　それを見た瞬間、洋美は意を決していた。<br />　あの近辺には、仲間だけではなく、この土地の自然を守ろうと奮闘してきた多くの人々がいる。<br />　そして、罪もない穏和な大怪獣と、それを愛する少年の思い。<br />　人の姿をした戦女神にとって、その全てが見捨てられるはずのない物であった。<br />　素早く周囲を確認し、仲間以外の人影がない事を確認するや、洋美はペンダントを手に取った。<br />「私たち、今から出ます」<br />「ああ。今回は特に気をつけろよ、いつもと条件が違いすぎるからな」<br />　鋭利な刃のような眼光を、遠くの九頭竜に注ぎながら、和人は重い声で洋美たちへ注意を促してくる。<br />　全く同じ方向を見据えながら強く頷くと、栗毛の現代的美人は手にしたペンダントを強く握り込んだ。<br />「ジィィィィル！！」<br />　決意を湛えた戦女神の姿は、すぐに拳から発生した光の奔流へと埋没していった。<br /> ]]>
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<dc:subject>Zeal of Ultralady 第十七話</dc:subject>
<dc:date>2009-01-15T00:59:23+09:00</dc:date>
<dc:creator>Felden</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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